2014-11-11

読書 "茶色の朝"…

  久しぶりの読書。 "茶色の朝"は、ランク・バブロフの寓話である。  

茶色以外の犬や猫を飼うことが法律で禁止され、主人公はごたごたはご免だと法に従いペットを殺してしまう。
このような乱暴な法律を批判し続けていた新聞は廃刊になった。やがて出版物も規制され、図書館では政府に批判的な書物が棚から消えていった。
それでも主人公たちは「街の流れに逆らわないでさえすれば、安心が得られて面倒に巻き込まれることもない」と思っていた。  ある朝、いつのまにか法律が変わっていて、過去に茶色以外の動物を飼っていた者も、「国家反逆罪」として逮捕されると、ラジオのニュースが語っていた。突然現れた自警団によって、主人公は逮捕され、「どこか」に連れていかれた。


 "茶色の朝"の最後に、次のような文章がある。
  (以下引用)
 「茶色の朝」を迎えたくなければ、まず最初に私たちがなすべきこと??それはなにかと問われれば、「思考停止をやめること」だと私なら答えます。なぜなら、私たち「ふつうの人びと」にとっての最大の問題は、これまで十分に見てきたとおり、社会のなかにファシズムや全体主義につうじる現象が現われたとき、それらに驚きや疑問や違和感を感じながらも、さまざまな理由から、それらをやり過ごしてしまうことにあるからです。
 やり過ごしてしまうとは、驚きや疑問や違和感をみずから封印し、「それ以上考えないようにする」こと、つまりは思考を停止してしまうことにほかなりません。「茶色の朝」を迎えたくなければ、なによりもまずそれをやめること、つまり、自分自身の驚きや疑問や違和感を大事にし、なぜそのように思うのか、その思いにはどんな根拠があるのか、等々を考えつづけることが必要なのです。
  思考停止をやめること、考えつづけること。このことは、じつは、意識を眠らされてでもいないかぎり、仕事や生活や社会的責任の違いを超えて、私たちのだれにとっても可能なことです。そして、勇気をもって発言し、行動することは、考えつづけることのうえにたってのみ可能なのです。
("茶色の朝" 大月書店)


 閑話休題。描かれているイラストが素晴らしい。

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